後期研修医科 カリキュラム呼吸器外科

目標・理念

循環器・呼吸器外科では、診療・教育上の目標・理念として以下の点を重要と考えています。

  • 患者の気持ちを尊重し、“患者の視点”を重視する。
    (たとえば、たとえ良い手術を行っても、そのことを詳しく説明しないと、 患者さんが満足するとは限りません。そのような患者の視点に気付くように支援したい。)
  • 若手医師の積極性・自発性を評価し、伸ばす。
    (間違いの指摘は後回しにして、型(指導医自身の型、レーゲル)にはめないようにしたい。)
  • 外科医としての“腕”を伸ばす。
    (特に、例えば胸腔鏡下手術や血管内治療など、未来につながる新しい技術の研修を支援したい。)
  • エビデンスやガイドラインを尊重する。
    (特に、例えば胸腔鏡下手術や血管内治療など、未来につながる新しい技術の研修を支援したい。)
  • 科学者としての観察眼・批判精神・学識を伸ばす。
    (臨床の場で、医者であると同時に科学者でもあるように支援したい。)

手術数

過去3年の実績で年間の呼吸器・胸部外科の全身麻酔手術数として45~83例。
内訳(重複含む、件数の括弧内はVATS症例数)としては、肺葉切除(2葉切除以上も含む):32例(4例)、 肺区域切除術:9例(2例)、肺部分切除術:27例(16例) 、縦隔腫瘍切除:4例(2例)、膿胸手術:3例(1例)、 その他:11例(4例)

診療科概要

当科は従来から循環器・消化器総合外科の一部門として診療を行っておりましたが、診療科再編に伴い、 2006年4月より呼吸器外科として独立致しました。循環器外科とは同一ユニットとして密接な連携を保ちつつ診療、研究に当たっています。

当科の専門領域は心臓血管外科と食道外科を除く胸部外科全般ですが、手術件数からみると原発性肺癌が過半数を占めます。 肺癌は悪性新生物のうちでも難治の部類に属し、外科治療のみで完治を得ることは困難です。 術前術後の化学療法や放射線治療については呼吸器内科、放射線科、病理部との連携のもとに治療を進める必要があり、 oncologistとしての修練も欠かせません。 また当科に特有の疾患群としては特発性気胸などの肺嚢胞性疾患や膿胸などが挙げられます。 従来、市中病院においては消化器外科医や心臓外科医が片手間に手掛けることの多かった疾患群ですが、 重症例ほどその治療には専門外科としてのセンスが要求されます。

研究は肺癌に関する臨床研究と、免疫学的手法を中心とした肺癌に関する基礎研究を進めています。 特に基礎研究では常に臨床応用を視野に入れたものを目指しています。

後期研修プログラム

後に示す到達目標達成のためには症例数に応じた研修者の数が自ずと決定されます。 すなわち、当科ではより短期間で密度の濃い研修を実践してして実力をつけてもらうために研修者の人数を制限しています。 この制度により、よりシステマティックで効率的な研修が可能となります。 将来的には北米の外科臨床研修カリキュラムに準じたものにすることを目指しています。

現行では、外科学会による外科専門医制度および厚生労働省の研修要綱を参考にして、 初期研修を終えた研修医が外科学会による外科専門医ならびに呼吸器外科専門医合同委員会による 呼吸器外科専門医を効率よく取得することを第一の目標とします。

スーパーローテート制を基礎とした新カリキュラムが開始されて2年が経過しましたが、 現状ではこの期間に習得しうる外科的手技はごく限られており、 本来の意味での外科医としての修練は後期研修から始まると云わざるを得ません。 外科専門医取得の要件が修練開始(医籍登録と同時に可能)後、満5年ですから、 実質3年間で外科学、外科術のエッセンスをたたき込む必要があるわけです。 当科は呼吸器に特化しているといっても、外科の基本はやはり腹部外科にありますし、 呼吸器外科手術の特性として心大血管に操作を加える機会も多く、心臓血管外科の素養も欠かせません。 短期間でこれらすべての修練を積むには、優れた指導者のいる施設でより多くの症例を主治医として担当し、 様々な経験をすることが重要です。当科はまだ発足したばかりの科ですが、手術例の豊富な関連施設を多数擁しており、 研修医諸君の要望も取り入れながらベストな研修を受けて頂けると考えています。以下に示すのは研修プランの1例です。

呼吸器外科1-2年目

関連施設において消化器外科を主体とする研修を行います。
または、大学院へ入学の後、大学病院にて呼吸器外科の他心臓血管外科、 消化器外科をローテートして研修を行います。

後期研修 呼吸器外科1-2年目を開く

呼吸器外科3年目

大学病院において呼吸器外科の研修を行います。

後期研修 呼吸器外科3年目を開く

呼吸器外科4年目以降(後期研修ではない)

外科専門医取得後、大学病院/呼吸器外科専門施設において呼吸器外科専門医取得を目指し研修を行います。
希望者には大学院入学の他、海外留学を積極的に目指していただきます。
留学先については目的に応じて様々ですが、当科科長がかつて在籍していたハーバード大学の他、 国際的なネットワークを通じたヨーロッパ、北米、南米の数施設を紹介可能です。

後期研修 呼吸器外科4年目以降
(後期研修ではない)を開く

呼吸器外科3年目終了時点での到達目標

  1. 呼吸器疾患に関する症状と理学的所見、画像検査(X線、CT、MRI、超音波検査など)、 生理学的検査(心電図、呼吸機能検査、動脈血液ガス分析など)、外科病理学的検査などの 基本的検査法の他に心臓血管造影法、心臓血管カテーテル検査法、経食道超音波検査法、 心筋シンチグラム、肺換気・血流シンチグラム、RI アンギオグラフィーなどの特殊検査の検査結果を解析できる。 気管支鏡、縦隔鏡、胸腔鏡等の内視鏡検査(生検を含む)を実施し、その結果を解釈する。
  2. 高齢者、ハイリスク患者を含む外科的呼吸器系疾患患者を担当医として経験する。
  3. 一般状態、加齢、他臓器機能、合併疾患を評価し、心身両面から総合的な治療計画の策定と
    手術適応の決定、術式の選択をおこなう。
  4. 呼吸器疾患の外科的治療の専門的知識と技能を習得する。
  5. 呼吸器外科に関する研究論文、症例報告ならびに学術集会において筆頭演者として発表する。

後期研修 呼吸器外科3年目終了時点
での到達目標を開く

収入

附属病院医員
医員の給与、時間外手当、当直料で35万円程度/月。
上記に加えて関連施設での日勤、当直で30~50万円/月。
扶養家族の状況で相談に応じます。

関連施設でのレジデント
施設の規定に従う。

スタッフ

岸本 晃司 准教授
資格:呼吸器外科専門医、外科専門医

宮本 信宏 助教
資格:胸部外科学会認定医、外科専門医

小栁 彰 医科医員

相談、質問は
電子メールで kishimot@med.shimane-u.ac.jp(岸本)
あるいは循環器・呼吸器外科医局 0853-20-2225まで。
(※上記のメールアドレスへの特定電子メールの送信を拒否いたします)

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