後期研修医科 カリキュラム泌尿器科

目標・理念

山陰の中核を担う基幹施設として、高度な医療に携わり本邦の標準治療や先進的な医療を経験し学ぶとともに、地域医療を担う関連病院での研修を経て地域医療の貢献に取り組んでいます。また、出雲市を中心に周辺地域からの紹介患者も多く、様々な疾患に対応できる体制作りを目指しています。

診療科概要

尿路性器がん(前立腺がん、膀胱がん、腎がん、腎盂尿管がん、精巣腫瘍など)、慢性腎不全(腎移植と血液浄化治療)、副腎腫瘍、前立腺肥大症、尿路結石症、尿路感染症、神経因性膀胱、女性泌尿器疾患 (骨盤臓器脱)などの疾患が泌尿器科の診療対象です。特に当科では前立腺癌、膀胱癌および腎癌をはじめとする尿路悪性腫瘍、慢性腎不全に関連した血管手術ならびに腎移植、高齢化に伴い増加が予想される排尿障害を中心に診療と研究を行っております。

前立腺癌の罹患者数(年間の新規発生患者数)は胃癌に次いで2番目に多く、死亡数も20年間で約2.4倍に増加しています。地域の健康福祉関係の方々と協力して啓蒙活動や検診を行い、早期発見と早期治療に努めています。超音波検査、超音波カラードプラ、エラストグラフィー、MRIあるいはMRSを駆使したより正確な癌の局在診断は当科の臨床研究課題の1つです。局所限局癌に対しては2012年11月からダ・ヴィンチシステムを用いたロボット支援前立腺全摘除術を導入し、また永久挿入密封小線源治療(ブラキテラピー)あるいは強度変調放射線治療(IMRT)も行っております。

浸潤性膀胱癌に対しては、膀胱全摘除術後の尿路変更として回腸を用いた自排尿型新膀胱造設術や回腸導管造設術を行っています。進行期の膀胱癌や再発症例に対しては、がん治療認定医とがん治療暫定教育医が中心となってより安全で効果的な薬剤の選択に心がけた化学療法を行っており、また予後の改善に期待すべく新規抗癌剤の積極的な導入にも取り組んでいます。

腎癌は近年、小さな早期癌で発見される頻度が高くなり、制癌と腎機能の温存を目的に腎部分切除を施行しています。腹腔鏡を用いた腎部分切除術は低侵襲性手術として従来より行ってきましたが、2016年4月より原発巣が7 cm以下で転移病巣のない腎悪性腫瘍に対してロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術を行っています。一方、下大静脈内に腫瘍塞栓を伴う進行期腎癌に対しては循環器外科や肝臓外科の協力のもとに積極的な外科治療を心がけています。早期の腎癌あるいは腎盂尿管腫瘍に対する腎摘除は、日本内視鏡外科学会技術認定医を中心に鏡視下手術を行っており、術後疼痛の軽減、早期退院、術後のQOLの向上に努めています。

腎不全治療にも携わり、当院の血液浄化治療を担当しています。したがって、血液透析患者のブラッドアクセス手術も当科で行っており、シャント瘤に対する手術、シャントトラブルに対する修復術あるいは人工血管グラフト留置術(上腕、前腕、下肢)などを年間約80例に施行し、腹膜透析用のカテーテル留置も行っています。60例以上の腎移植経験をもつ腎移植認定医を中心に、従来の生体腎移植に加えてABO血液型不適合症例、小児に対する腎移植、夫婦間での生体腎移植など免疫学的にハイリスクな移植にも積極的に取り組んで良好な成績を得ています。なお、当科は島根県で唯一の献腎移植登録施設としての役割も担っており、献腎移植の啓発に積極的に取り組んでいます。

悪性腫瘍以外では、前立腺肥大症、尿路結石症などが多く、高出力ホルミウム・ヤグレーザー発生装置を用いた前立腺肥大症の最新治療(HoLEP)やESWL(体外衝撃波砕石術)に取り組み、良好な治療成績に加えて合併症の少ない効果的で安全な治療を行っています。男性の術後尿失禁に対しては、人工尿道括約筋AMS800埋め込み術を積極的に行い良好な成績を得ております。 また、女性の尿失禁、過活動膀胱、骨盤臓器脱など骨盤底筋群の筋力低下に関連して生じる病態には、「女性泌尿器科外来」を開設し、ポリプロピレンのテープやメッシュを用いた尿失禁や骨盤臓器脱手術も積極的に取り組んでいます。

日本泌尿器科学会専門医教育施設、日本透析医学会認定医制度認定施設であり、それぞれ専門医、指導医、認定医の取得が可能です。また、腎移植は日本臨床腎移植学会腎移植認定医あるいは移植学会認定医、腹腔鏡手術は日本内視鏡外科学会技術認定医、癌化学療法に関してはがん治療認定医の取得も可能です。臨床面では大学としての悪性腫瘍に対する高度な診療と地域に密着した一般診療の両者が経験できる一方で、臨床研究、基礎研究にも力を入れており、米国UCSFに留学して泌尿器癌の分子生物学的研究も行っています。

現在のスタッフは教授を含め11名ですが、まだまだマンパワーは不足しています。出身大学などは一切問いません。あなたの力を必要としています。

研修プログラム ダウンロード

下記の研修プログラムをダウンロードしてご覧ください。

写真

医局集合写真
手術写真
 
 
診療科一覧