歯科医師後期研修プログラム

1.全身管理

【一般目標】

歯科診察時の全身疾患の急変に対応できる。

【行動目標】
  1. 視診、触診、聴診、問診により全身状態の所見をとることができ、それを評価できる。
  2. 血液検査、呼吸機能検査、心電図などの諸検査から全身状態を評価できる。
  3. 適切に医科と対診できる
  4. 全身疾患の歯科治療上のリスクを説明できる。
  5. 診察時の全身的合併症への対処法を理解し、実践できる

2.全身疾患をもった患者の歯科治療

【一般目標】

有病者の歯科治療を安全に行うための知識、技術を習得する。

【行動目標】
  1. 全身疾患の歯科診療上のリスクを説明する。
  2. 歯科診察時の全身的合併症への対処法を説明する。
  3. 服用薬剤の歯科診療に関連する副作用を説明する。
  4. 循環器系疾患(先天性心疾患、心臓弁膜症、高血圧症、狭心症、心筋梗塞など)
     患者の全身状態を理解し、安全に抜歯できる。
  5. 腎不全・透析患者の全身状態を理解し、安全に抜歯できる。
  6. 糖尿病患者の全身状態を理解し、安全に抜歯できる。
  7. 甲状腺疾患患者の全身状態を理解し、安全に抜歯できる。
  8. 肝疾患患者の全身状態を理解し、安全に抜歯できる。
  9. 移植医療の周術期口腔管理ができる。

3.唇顎口蓋裂、歯科矯正外科を必要とするいわゆる顎変形症

【一般目標】

口腔顎顔面の先天的異常(いわゆる顎変形症)を理解し、適切に対処できる。

【行動目標】
  1. 口腔顎顔面の発生・発育の正常および発生異常・発育異常を十分に理解し、説明できる。
  2. 唇顎口蓋裂患者の食事指導ができる。
  3. 唇顎口蓋裂の病態と集学的治療法を説明できる。
  4. ホッツ床の作製ができる。
  5. 周術期の管理ができる。
  6. 他の合併先天異常に対処できる。
  7. 顎変形症の病態を理解し、説明できる。
  8. 顎変形症の術前矯正の必要性を理解し、説明できる。
  9. 顎変形症手術の適応を理解し、説明できる。
  10. 顎変形症患者の周術期の管理ができる。

4.口腔顎顔面の炎症

【一般目標】

口腔顎顔面の炎症疾患、特に歯原性炎症を理解し、適切に対処できる。

【行動目標】
  1. 炎症の診断に必要な検査を指示し、その結果を理解対処できる。
  2. 口腔内外の炎症処置が適切にできる。
  3. 膿瘍の穿刺吸引ができる。
  4. 膿瘍の切開排膿処置ができる。
  5. 口腔顎顔面炎症疾患の原因の特定ができる。
  6. 菌血症および歯性病巣感染の病態を理解し、対処できる。

5.口腔顎顔面の外傷

【一般目標】

口腔顎顔面の外傷を理解し、適切に対処できる。

【行動目標】
  1. 歯、口腔および顎顔面の外傷に対する基本的な治療ができる。
  2. 外傷性出血(口腔内、口腔外)の処置ができる。
  3. 咬合の回復を理解し実践できる。
  4. デブリードメントができる。
  5. 口腔内副子の作製、装着ができる。
  6. 顎間固定中の患者の管理ができる。
  7. 顎関節脱臼の診断ができ、処置ができる。

6.悪性腫瘍

【一般目標】

口腔顎顔面の腫瘍を理解し、適切に対処できる。

【行動目標】
  1. 良性、悪性の鑑別ができる。
  2. 生検ができる。
  3. 頭頸部悪性腫瘍の治療法が説明できる。
  4. 腫瘍の診断に必要な画像検査法を理解し、対処できる。
  5. 悪性腫瘍患者の患者管理を理解し、対処できる。

7.顎関節疾患

【一般目標】

顎関節症を理解し、適切に対処できる。

【行動目標】
  1. 顎関節症の病態を理解し、説明できる。
  2. 顎関節症の症系分類を理解し、実施できる。
  3. 顎関節症クローズドロック症例に対するマニュウプレーションを理解し、実施できる。
  4. 顎関節症に対するスプリント療法を理解し実施できる。
  5. 顎関節洗浄の適応と、その病態が説明できる。

8.唾液腺疾患

【一般目標】

全身疾患と当該疾患の関連を理解し、適切に対処できる。

【行動目標】
  1. 導管内唾石症の処置ができる。
  2. 乾燥症候群に対する診断および処置ができる。
  3. 唾液腺腫瘍に対する検査、診断ができる。

9.粘膜疾患

【一般目標】

口腔粘膜に発生する粘膜病変を理解し、適切に対処できる。

【行動目標】
  1. 口腔内白色病変を理解し、鑑別できる。
  2. 白板症の病態を理解し、対処できる。
  3. 扁平苔癬の病態を理解し、対処できる。
  4. 口腔カンジダ症の病態を理解し、対処できる。
  5. アフタ性口内炎の病態を理解し、対処できる。
  6. ヘルペス性口内炎の病態を理解し、対処できる。
  7. 舌痛症の病態を理解し、対処できる。
  8. 義歯性潰瘍と癌性潰瘍の鑑別ができて対応できる。

10.他科における研修

  • 福井大学医学部附属病院麻酔科にて、3ヶ月間、日本麻酔科専門医・指導医のもとで研修する。
    1. 末梢静脈路を確保できる。
    2. 気道を確保し、マスクによる陽圧換気ができる。
    3. 気管内挿管ができる。
    4. 輸液による適切な体液管理ができる。
    5. 歯科治療における精神鎮静法を具体的に説明できる。
    6. 精神鎮静法に用いる薬剤の特性および作用機序を説明できる。
    7. 精神鎮静法に用いる薬剤の副作用およびその対処法を説明できる。
    8. 各種バイタルサインの正常値、異常値を説明できる。
    9. 血液検査などの各種検査の正常値および異常値を判断できる。
    10. 動脈ガス分析の結果を評価できる。
    11. BLSが実施できる。
    12. ACLSが実施できる。
  • 研修関連施設にて、週1回の研修を行う。

研修関連施設

飯南町立飯南病院、島根県立中央病院、益田赤十字病院、隠岐広域連合立隠岐病院、歯科恒松医院、いのうえ歯科医院、インプラントセンター北海道