後期研修医科 カリキュラム神経内科・膠原病内科

目標・理念

内科学第三(神経内科、膠原病内科)は、1)難病・先進医療に貢献し、2)ユニークでオンリーワンの研究を追求し、そして3)島根の地域医療の核となって疾病治療及び予防医療に邁進できる臨床医の育成を講座の目標としています。

当診療科では、講座発足以来専門分野に偏らない常に広い視野を持った総合的な診断治療能力を有する臨床医を輩出してきました。その結果、現在県内総合病院に院長・副院長を派遣、自治体や行政と連携し地域の要として活躍しており、さらにこれまで島根県内外に13名の教授も輩出しています。

大学病院を一歩出れば、一人の医師として primaryでall roundな臨床能力が要求される場面が多々あります。初期研修を終えた若いドクターの皆さんには、日々進歩する医学・医療に精通し、強くて熱い臨床医になって頂くべく、当科の門を叩いてくれることを私たちは熱望しています。

神経内科、膠原病内科の2分野の専門医は無論、総合内科専門医、老年病専門医、プライマリーケア医、東洋医学専門医、産業医としても幅広く活躍できるようになる当科の臨床研修システムは大変魅力に満ちています。また医局員の全員が医学博士号を取得するシステムを有し、ポストドクターやフェローシップとして海外留学で新たな世界や空気に触れることも出来ます。

診療科概要

神経内科

脳血管障害、認知症、パーキンソン病、多系統萎縮症、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、ギランバレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、重症筋無力症、多発性筋炎、てんかん、頭痛などすべての神経疾患を広くカバーしています。特に脳卒中関係では、全国脳卒中専門病院と共同で標準データベース(Japan Standard Stroke Registry Study:JSSRS)を開発し、脳卒中データバンクとして脳卒中実態把握、治療調査研究、診療ガイドライン検証などに役立てています。さらに脳卒中合同ガイドライン委員会による「脳卒中治療ガイドライン」作成にもかかわっており、全国の脳卒中診療に多大の貢献をしています。急性期脳梗塞治療では発症4.5時間以内の血栓溶解療法(tPA治療)、事象関連電位、機能的MRIなどを用いた高次脳機能診断と治療評価などを積極的に行っています。

また、反復経頭蓋磁気刺激(Repetitive Transcranial Magnetic Stimulation: rTMS)や経頭蓋直流刺激(Transcranial Direct Current Stimulation: tDCS)を用いた神経難病(パーキンソン病、多系統萎縮症)や脳卒中への治療も開始し、薬剤治療に加えて新たな臨床効果を得ています。その他しまね認知症疾患医療センターとして、認知症の早期診断に取り組み、脳血流シンチ、機能的MRI、頚動脈エコー、誘発電位を含む電気生理学的検査などを駆使しながら、積極的な先進医療で成果をあげています。また理学療法士、作業療法士、言語聴覚士と共同し高次機能評価やリハビリテーション治療にも力を入れています。 ヘルスサイエンスセンター島根と共同で脳卒中予防のための脳ドック検診にも力を入れています。神経内科は未知のことが多く、とてもチァレンジングです。意欲ある人を待っています。

膠原病内科

関節リウマチ、SLEなどの膠原病、ベーチェット病などの類縁疾患の先進的な専門医療・研究を行っています。

慢性、難治性の疾患が多いので、寛解状態を持続させ合併症を最小限にするためにステロイドや免疫抑制剤、生物学的製剤をはじめとする分子標的治療、血液浄化療法等による積極的な治療を行い、全身管理を十分に行って長期予後を改善しています。

また、最新の免疫検査に加えて、CT、関節や筋肉MRI、関節エコー等の画像診断を活用して非侵襲的診断、治療効果判定を行っています。

全国多施設でのANCA関連血管炎、関節リウマチの治療に関する研究に参加し、より良い治療法の開発に貢献しています。

また、院内での患者治療にとどまらず、講演会、専門医相談会、友の会、患者さんと家族のための勉強会などを通して患者教育を行い、患者さんとのコミュニケーションをはかり、新しい治療の普及につとめています。

放射線読影専門医や他院のリウマチ専門医と月1回 画像カンファレンスを行い診療技術の向上につとめています。

後期研修プログラム

神経内科

到達目標
  1. 脳血管疾患、神経変性疾患、炎症性・脱髄性疾患、高齢者疾患、認知症疾患、各種遺伝疾患などを一人で責任を持って正確に診断・検査・治療し、患者様や家族に説明し、またパラメディカルとも的確なチームワーク医療が出来る。
  2. 常にエビデンスに基づいて各患者様に最適な薬物治療・ケア・フォローアップが出来る。
  3. 地域医療センターと連携し、スムーズな在宅・施設・療養型病棟への移行が出来る電子カルテシステムやクリニカルパスに基づいた退院への最短プログラムを立案できる。
  4. 各種の遺伝相談に対応でき、倫理的な諸問題にも正しく対応できる。
  5. 患者様や家族の抱える社会的・宗教的な背景や問題に対応し、様々な難問に正面から取り組める温かい心の育成・医師としての人格形成に努める。
  6. 新たな問題意識を絶えず持ちながら、神経内科学の発展と貢献に寄与できる臨床医を目指す。
島根大学
(1年~3年)
都市部病院
(1年~2年)
県内医療機関
(1年~2年)
その他島根大学病院
(1年~3年)
大学院入学は、3年目以降、随時可能です。

大学院終了後は、 海外留学、大学教員 関連病院勤務

大阪府 北野病院
大阪府 国立循環器病研究センター病院
京都府 宇多野病院
福岡県 聖マリア病院
東京都 済生会中央病院
東京都 都立神経病院
東京都 国立精神・神経
    医療研究センター病院

島根県立中央病院
益田赤十字病院
身分
大学院生 医員

この間も他大学、 研究機関での研修可能

指導は神経専門医スタッフが、個別あるいはグループで、診察法、検査手技、治療、また学会発表や論文作成まで細かく指導している。症例数は多く、2年程度で主要な神経疾患について研修することが可能。毎週金曜日の神経回診と神経カンファレンス、月1回の脳神経外科と合同カンファレンス、放射線科と合同の神経放射線画像カンファレンス、検査部スタッフとの神経生理カンファレンスにて各症例の詳細な検討を行い、治療に結びつく活発な議論を続けている。
研究分野では、山口修平教授、小野田慶一講師を中心とした高次脳機能研究チームが、脳の持つ多様化した機能の解明に、機能的MRI、多チャンネル誘発電位脳波、経頭蓋磁気刺激、光トポグラフィーなど最新のテクノロジー機器を駆使して取り組んでいる。
また、長井篤教授(臨床検査部部長)率いる再生医療研究チームは、カナダのブリティシュ・コロンビア大学との共同研究にて、最先端の神経幹細胞移植による脳血管障害やアルツハイマー病における新しい治療法の開発に取り組んでいる。
脳卒中研究では、20年以上にわたる脳ドックコホート研究を継続し、脳卒中予防に関するエビデンスを発表している。また脳卒中の急性期治療・疫学調査・病態解明を精力的に続け、シンポジウムや教育講演にて成果を発表している。特に脳卒中後の情動障害の研究に力を入れている。
いずれの研究チームも大学院生と研究生に対し、研究成果の国内や国際学会での発表、国際学術雑誌への投稿・掲載、そして学位取得まで丁寧にサポートしている。

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膠原病内科

到達目標
  1. リウマチ性疾患、膠原病疾患などを一人で責任を持って正確に診断・検査・治療し、患者様や家族に説明し、またパラメディカルとも的確なチームワーク医療が出来る。
  2. 常にエビデンスに基づいて各患者様に最適なテーラーメイド医療・ケア・フォローアップが出来る。
  3. 全身性疾患である膠原病診療を通して内科全般を総合的に診療できる臨床医を目指す。
  4. 整形外科での短期研修、放射線部での研修を行い、より高いレベルの専門性をもったリウマチ専門医を目指す。
  5. 患者様や家族の抱える社会的背景や問題に対応し、様々な難問に正面から取り組める温かい心の育成・医師としての人格形成に努める。
  6. 新たな問題意識を絶えず持ちながら、膠原病リウマチ内科学の発展と貢献に寄与できる臨床医を目指す。
島根大学 都市部病院 県内医療機関 その他島根大学病院
この間にAおよびBへ派遣

A、全国大学間交流研修
(1~2ヶ月)
岡山大学
鳥取大学整形外科

B、海外短期研修 (1~2週)
米国

岡山県
倉敷成人病センター

その他、東京女子医大附属病院 の研修の実績もあり。 多くの病院から依頼があり、全 の都府県での研修が可能。

松江赤十字病院
玉造厚生年金病院
身分
大学院生
医員

この間も他大学、
研究機関での研修可能

指導は、膠原病内科スタッフ全員であたっている。症例は山陰両県から(時には他県からも)集まっており、膠原病内科全般について学ぶことができる。また、膠原病は神経、呼吸器、循環器、消化器、腎臓、運動器、皮膚など全臓器に症状がおこり、治療に使用する薬の特性から、代謝性疾患、感染症についても十分学ぶことが可能で、膠原病を学ぶことで、リウマチ専門医の知識ばかりでなく、内科認定医、内科専門医を取得するのに十分な症例の経験が可能である。
毎週水曜日の膠原病回診とカンファレンス、抄読会、金曜日に症例検討会を行っている。また月1回の放射線読影医や他院のリウマチ専門医と合同の画像カンファレンスを行っている。不定期で腎臓内科、呼吸器・化学療法内科などとカンファレンスを行っている。
リウマチ専門医取得のため、リウマチ内科医として必要なリウマチ外科の知識を習得のため1~6ヶ月程度リウマチ専門整形外科での研修をする。
また、関節超音波の技術も習得する。後期研修医も全国的に行っている多施設共同臨床研究に協力し、臨床研究のあり方を学ぶ。
当科の関与する講演会や研究会で、各分野での第一人者の先生の講演で医局員、研修医が新しい知識を学ぶことが可能である。東京や大阪などで行われる全国レベルの講演会に後期研修医も参加してもらっているので、飛躍的に進歩しているこの分野の最新の情報を得ることが可能である。
研究分野では、サイトカインと病態の研究室での研究と、関節リウマチと生物学的製剤や関節リウマチの動脈硬化などの臨床的研究が進行中である。

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取得可能な資格

  • 日本内科学会認定内科医
  • 日本内科学会総合内科専門医・指導医
  • 日本神経学会神経内科専門医
  • 日本リウマチ学会リウマチ認定医 認定関節エコーソノグラファー、指導医
  • 日本脳卒中学会脳卒中専門医
  • 日本老年医学会専門医
  • 日本臨床神経生理学会認定医
  • 日本認知症学会専門医
  • 日本医師会認定産業医
  • 日本東洋医学会東洋医学専門医
  • 日本プライマリーケア学会認定医
  • 日本リハビリテーション学会臨床認定医

関連病院・研修指定病院

島根県内

  • 島根県立中央病院
  • 大田市立病院
  • 益田赤十字病院
  • 医療法人橘井堂 津和野共存病院
  • 隠岐広域連合立隠岐病院
  • 済生会江津総合病院
  • 松江赤十字病院
  • 玉造病院
  • 出雲市民リハビリテーション病院
  • 医療法人壽生会 寿生病院
  • 医療法人社団耕雲堂 小林病院
  • 安来第一病院

県外・都市部

  • 東京都 国立精神神経センター
  • 京都府 国立病院機構宇多野病院
  • 広島県 大田記念病院
  • 東京都 済生会中央病院
  • 広島県 東広島記念病院 リウマチ・膠原病センター
  • 岡山県 倉敷成人病センター

進路相談

随時可能、本人の希望やニーズに対応します。開業支援も可能です。

その他

休暇(夏季休暇1週間、年末年始)、有給、育児休暇・出産休暇制度あり
通勤、住宅手当あり
学会出張費支給
論文翻訳や投稿・別刷り費用などは全額支給
週2単位の外勤可能

随時、病棟や外来、研究室などの見学を受け付けております。いつでも下記にご連絡ください。
お待ちしています。

連絡先

神経内科:小黒浩明(医局長) 0853-20-2199(直通)
膠原病内科:村川洋子 0853-20-2196(直通)
外来 0853-20-2381
病棟 0853-20-2493, 2494
医局 0853-20-2197
秘書 0853-20-2198
Email:
FAX 0853-20-2194

写真

教室員
カンファレンスで症例提示
筋電図手技トレーニング
第34回日本脳卒中学会総会を主催(2009年松江)
学会にて
第20回日本リウマチ学会中国四国支部集会にて(出雲)
 
 
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