後期研修医科 カリキュラム精神科神経科
目標・理念
現代社会においては様々なストレスを背景とする問題が多発しています。あらゆる年齢層において、精神的な問題を抱え、悩み苦しみ、生き甲斐や希望を失いかけている人が増えてきています。自殺者は毎年3万人を越えるなど、こころのケアが求められる時代になっています。このような精神的な問題を抱えている人を支え、癒す担い手としての精神科医は、臨床場面だけでなく、会社や地域や学校などにおいてとても必要とされています。精神科医の需要は増加の一途を辿っています。このようなニーズに第一線で対応できる精神科医を一人でも多く育成していくことを目標とします。また、精神疾患はその発症原因や病態が未知のことが多く、病因解明や治療法の開発など向学心や研究心を持った精神科医をめざします。
診療科概要
疾患としては、統合失調症、気分障害(うつ病、躁うつ病)、認知症、不安障害、睡眠障害などの症例を主として診療しています。比較的急性期の症例も多く、指導医のもとで臨床経験を十分積むことができます。また、当科では5つの特殊外来を開いています。島根県内をはじめ各地から多くの患者の紹介があります。
第1は「もの忘れ外来」です。認知症の早期発見と早期治療を目標にしています。島根県は全国一の高齢県であり、地域との連携を重視した臨床を心がけています。
第2は「睡眠外来」です。通常の不眠症から特殊な不眠症まで専門医が対応しています。1泊の検査入院で終夜睡眠ポリグラフ検査を適宜行っています。
第3は「思春期外来」です。18才位までの子どもの精神医学的問題に対応しています。特に中学生、高校生の不登校や学校行き渋りの症例を多く診察しています。
第4は「ストレス外来」です。現代社会において、私達は職場、家庭、学校など、日々ストレスを感じながら生活しています。本ストレス外来では、様々なストレスが原因で生じる心身症、不安、抑うつなどに対応しています。
第5は「漢方心療外来」を設置し、専門医が対応しております。漢方薬の効用の再評価や基礎医学研究の発展は目覚ましく、西洋薬では対処できない多くの精神疾患を対象としています。
また、精神科ではコンサルテーション・リエゾンチームを結成し、院内の精神科的問題の生じた他科入院患者にも対応しています。身体疾患を背景とする精神症状について、他科の医師と連携をとったり、病棟看護スタッフとのカンファレンスに参加し、チーム医療を学びます。また院内の緩和ケアチームにも参加し、がん患者さんの精神医学的問題にアプローチしていきます。
後期研修プログラム
1~3年間
当科では、外来主治医・病棟主治医業務に加えて、コンサルテーション・リエゾン活動として他科入院患者も担当します。学会や各種研修会にも随時参加可能です。経験豊かな指導医による指導を受けることが出来ます。関連病院(総合病院精神科、精神病院)での診療を毎週一日程度、行うことも可能です。
学会発表や症例報告を行うという作業を通して、臨床医として医学論文の読み方や臨床への応用の方法を学びます。 また、医学研究も可能です。
当科は、今後実施される予定の新専門医制度の基幹施設となります。この新専門医制度では、1~3年間のうち、原則として2年間は当科で後期研修を行い、その後の1年間は連携施設である島根県内の精神科病院、総合病院精神科、精神科クリニック等で研修を行います。
今後は、新専門医制度に則り、連携施設での研修も含めて、精神保健指定医及び精神科専門医等の資格取得に必要な症例を経験し、資格取得を目指します。
1~3年間の後期研修プログラムを開く
4~10年間
自身の実力の向上のためには、後輩の指導も必要です。後輩の指導医として当科で臨床経験を重ね、また研究にも積極的に参加し、精神科医としての実力の向上に努めます。
※以上のプログラムは一例です。既に医師としての経験がある方など、御本人のご希望に沿う形で研修を致します。 参考のために、当科の特徴を下記に示します。
- スタッフや臨床教授などによる精神分析の概念と基礎理論を学び、日常の精神療法への活用を目指した勉強会として「精神分析的精神療法研究会」
- 最新の英文の妙読と解説をする「EBM(Evidence-Based Medicine)研究会」
- 精神疾患の病態解明のための実験動物を用いた研究会である「基礎医学研究会」
- 光トポグラフィーを用いた脳血流測定による主に抗認知症薬や抗うつ薬の効果研究と作用機序の解明およびうつ病の診断応用の研究を通じた臨床研究会
- インドネシアのハサヌディン大学、バングラディシュの児童思春期施設からの外国人留学生(大学院生)教育およびストレスマーカー(唾液アミラーゼ)の大学間国際共同研究のためのスカイプを用いた国際ライブカンファレンス
- 精神障害をテーマとした映画鑑賞とその解説(シネマサイカイアトリ―)による教育
- 日本精神神経学会が作成した教科書である「専門医を目指すヒトの精神医学」を用いた専攻医と教授による「早朝勉強会」
- 生活臨床セミナー
- 院内全科のスタッフに向けた「精神科30分勉強会」
- リエゾンスタッフによる回診と他科医師との合同カンファレンス
4~10年間の後期研修プログラムを開く
大学院博士課程入学
大学院博士課程への入学については、特に規定を設けておりません。希望者は入学試験に合格した後、入学可能です。各分野の研究活動を行っている医師の指導の下、興味のある分野の研究を行うことができます。本学には昼夜開講大学院があり、社会人大学院生として働きながら学べる環境が整っています。
大学院博士課程入学を開く
主な研究テーマ
- 生物学的精神医学(薬理、画像)
- 老年精神医学
- 睡眠医学
- 統合失調症の病因研究
- 思春期精神医学
- リエゾン精神医学
- 漢方精神医学
臨床研修指導医
当科では、14名の指導医が臨床指導に当たります。
- 教授 堀口 淳
- 准教授 宮岡 剛
- 講師 橋岡 禎征
- 講師 和氣 玲
- 学内講師 林田 麻衣子
- 助教 長濱 道治
- 助教 山下 智子
- 助教 三浦 章子
- 医科医員 金山 三紗子
- 診療従事許可医 稲垣 卓司
- 講師 岡崎 四方
- 診療従事許可医 安田 英彰
- 助教 古屋 智英
- 診療従事許可医 河野 公範
臨床研修認定施設
日本老年精神医学会認定施設
- 指導医 堀口 淳
- 指導医 長濱 道治
日本精神神経学会認定施設
- 指導医 堀口 淳
- 指導医 宮岡 剛
- 指導医 橋岡 禎征
- 指導医 和氣 玲
- 指導医 岡崎 四方
- 指導医 林田 麻衣子
- 指導医 長濱 道治
- 指導医 山下 智子
日本総合病院精神医学会認定施設
- 指導医 堀口 淳
日本睡眠学会認定施設
- 睡眠医療認定医 堀口 淳