後期研修医科 カリキュラム循環器内科

目標・理念

島根大学循環器内科の理念

  • 地域医療と先進医療が調和する循環器内科

島根大学循環器内科の目標

  • 「医師として患に触れる人間関係」を重要視し、総合力ある専門医を輩出する。
  • 地域医療人とのネットワークを重視した医療の実践。
  • 安全・安心で満足度の高い医療を実践する。
  • 地域社会に還元できる臨床研究を推進する。

診療科概要

島根大学循環器内科では、医局員全員が一通りの循環器診療を習得した上で、心臓超音波部門、心臓カテーテル部門、不整脈診療部門などの、subspeciality としての専門検査・治療に従事しています。しかし、田邊教授の掲げられた目標にもありますように、循環器内科医である前にgeneral physicianでなければなりません。そのような“総合力のある専門医”を育てることを目標にしています。臨床研究・発表症例報告も積極的に行ってもらっています。また、同じ内科学講座第四の中に腎臓内科グループもありますので、お互いに連携し、心腎連関を熟慮した先進の循環器医療を行える環境です。
後期研修1年目に神戸大学との連携で感染症治療の研修を1か月間行ってもらっています。

心臓超音波検査部門は、経胸壁心エコー図検査件数は約2300例/年、経食道心エコー図検査件数は200例/年にのぼります。田邊教授は、心臓超音波検査法を用いた研究を長年のテーマとしており、現在はリアルタイム3次元エコー法、2次元/3次元スペックルトラッキング法による心機能評価、左房容積計測の臨床的有用性の検討、心臓バイオマーカーと心機能指標、弁膜症の手術のタイミングに関する研究を主に行っています。 毎年10月、出雲市において『Echo Heart Izumo』と銘打った心エコー講習会を行っています。研修医を対象としたハンズオンも同時に行っています。

心臓カテーテル治療部門は、血管造影装置としてbiplaneイメージインテンシファイヤー式1台とフィリップス社製 single planeフラットパネル式1台を使用し、心臓カテーテル検査を約400例/年、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を約120例/年行っています。特に緊急症例に対しては24時間体制でPCIを施行しています。光干渉断層法(Optical Cohelence Tomography)、血管内超音波(IVUS)、バーチャルヒストロジーIVUS、プレッシャーワイヤーによる冠内圧測定などが常時施行可能な状態にあり、症例ごとに最も適切な治療戦略を検討するように心がけています。当科では若手インターベンショナリストの育成を第一目標に掲げ、指導医のもとで術者のレベルに合わせた難易度の症例を積極的に経験していくことによりステップアップを目指しています。当院は日本心血管インターベンション治療学会の研修関連施設にも認定されており、専門医などの資格取得もサポートしていければと考えています。また、より多くの症例を経験するため名古屋ハートセンター、豊橋ハートセンターなど国内有数の症例数を誇る施設との交流も積極的に行っています。

不整脈診療部門では、通常の循環器内科一般外来に加えて、週一回の不整脈外来を設けています。入院診療においては、心臓電気生理検査を約50例/年、ペースメーカー植え込みも約50例/年施行しています。また心房細胞に対するカテーテルアブレーションや心室細動などの致死的不整脈に対する植え込み型除細動器(ICD)、重症心不全に対する両室ペーシング療法(CRT)も行っています。不整脈は難解な分野と思われがちですが、わかりやすく解説する事を心がけています。

画像診断部門では、冠動脈CT、心臓核医学検査を行っており、冠動脈CTを約300件/年、心筋シンチグラムを200件/年程度施行しております。冠動脈CTは低侵襲で冠動脈の評価が可能な検査法であり、外来で行う事も可能です。2005年から運用が開始され、2010年4月にCT装置が320列にupgradeされましたので、撮像時間が1秒以内に短縮され、更に精度の高い検査が可能となっています。また、虚血性心疾患や心筋症等の評価に積極的に心筋シンチグラムを施行しております。2014年には高性能SPECT装置が導入され、更にSPECT-CTも2台導入されましたので、臨床研究も含めた更なる診療向上が期待されます。

医局の雰囲気はとても良く、田邊教授を筆頭に笑いの絶えない明るい医局です。1週間の夏休み休暇に加え、国内外の学会参加、また春と秋には同門会の先生方も交えて、楽しいゴルフコンペも行っています。循環器内科と言えば「忙しい」「大変」というイメージがあるかも知れませんが、オン・オフのメリハリをつけ、毎朝ICUでのカンファレンスを行い、診療上の問題点を循環器内科全員で共有するなど、働きやすい環境を提供しています。少しでも循環器内科に興味をお持ちの方は、気軽に御相談下さい。

後期研修プログラム

後期研修 1年次

入院患者約5名の主治医となり、主要疾患に対する診療方法を学ぶ。 指導医全員による診療内容のチェック、習熟度評価に基づき、疾患や検査トレーニングに偏りがないように調整する。 急性心筋梗塞、心原性ショック、重症心不全、致死性不整脈への対処、心肺蘇生術に習熟すると共に、 侵襲的検査・治療の介助や臨床的意義を学ぶ。当直は月4~5回程度。緊急カテーテル検査等の場合は呼び出しあり。 学会や研究会での症例報告を通じて、症例への丁寧なアプローチを学ぶ。

到達目標

心疾患の診察手技を身につけ、12誘導心電図診断を基本として、トレッドミル負荷心電図、経胸壁心エコー、負荷心筋シンチグラム等の施行・診断方法を理解する。心臓カテーテル検査に関しては、各血管(大腿・内頸・鎖骨下静脈、大腿・橈骨・上腕動脈)穿刺法、動静脈の止血法、右心カテーテル検査(血行動態評価、血液サンプリング)、左心カテーテル検査(左心室、冠動脈造影)、徐脈性・頻脈性不整脈の電気生理検査の介助・施行・診断方法・データ解釈を理解する。

治療としては各循環器疾患の薬物療法(内服・注射)、救急薬品の使用方法の習得、心肺蘇生術(気管内挿管、電気的徐細動も含む)、緊急一次ペーシング、右心カテーテルの施行を出来るようにする。また循環器疾患に対する非薬物治療(PCI、永久ペースメーカー、大動脈内バルーンパンピング:IABP、経皮的心肺補助:PCPS、外科手術等)の適応の理解と、実際の手技の介助、管理法を習得する。
資格のあるものは日本内科学会認定医を取得する。

後期研修 1年次を開く

後期研修 2年次

到達目標は1年次のものに加え、2年次では自ら各処置を行う事が出来るようにする。 また、それぞれがテーマを見つけ、臨床研究も並行して行う。

検査としては経食道心エコー検査、左心カテーテル検査、徐脈性・ 頻脈性の生理学的検査がfirst operatorとして施行出来るようにする。 治療としてはPCI、永久ペースメーカー植え込み術の介助が確実に施行出来るようになり、 心嚢穿刺・ドレナージの施行・介助、IABP・PCPSの管理を確実に習得する。

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後期研修 3年次

全ての項目が到達目標に達するように更に研鑚を積む。 症例報告のみならず、臨床研究の成果を学会発表し、論文作成も開始して学位習得の準備を行う。 より高い習熟度を希望する場合には、国内留学(1~2年)も可能である。

なお、治療としては、上級医の下で PCIや永久ペースメーカー植え込み術が first operatorとして施行出来るようにする。

上記スケジュールは原則的なもので、可能な限り個々の希望を考慮します。 また、到達目標に向けて、関連病院にて研修を行う事もあります。

以下に研修医一人当たりの疾患別年間経験症例の目安を呈示します。

急性心筋梗塞:10例 狭心症:30例 心不全:30例
弁膜症:20例 心筋症:20例 不整脈:20例
感染性心内膜炎:3例 先天性心疾患:3例 心膜疾患:3例 等

後期研修 3年次を開く

国内留学先実績

日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院(東京)、豊橋ハートセンター(愛知)、名古屋ハートセンター(愛知)、国立循環器病センター(大阪)、天理よろづ相談所病院(奈良)、神戸市立医療センター中央市民病院(兵庫) 東京大学、大阪大学、神戸大学

国外留学先実績

Mayo clinic(米国ミネソタ州)

関連施設

松江市立病院、松江医療センター、松江記念病院、玉造病院、東部島根医療福祉センター、島根県立中央病院、雲南市立病院、町立奥出雲病院、平成記念病院、飯南町立来島診療所、出雲市立総合医療センター、出雲市民病院、おおつかクリニック、姫野クリニック、大田市立病院、仁寿会加藤病院、済生会江津総合病院、西部島根医療福祉センター、益田赤十字病院、益田医師会病院、津和野共存病院、石州会六日市病院、光輝会平生クリニックセンター

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