初期研修カリキュラム総合外科
目標
1. 一般目標1(総論的)
国民のニーズに答えるべく, レベルの高い均質な, 包括的で全人的な外科診療を実践できる専門医を養成するために以下の項目を到達目標として, 段階的に進む研修を実施する.
- 適切な外科の臨床的判断能力と問題解決能力を修得する.
- 将来的に手術を適切にできるための基本的能力を修得する.
- 医の倫理に配慮し, 外科診療を行う上での適切な態度と習慣を身に付ける.
- 外科学の進歩に合わせた生涯学習を行うための方略の基本を修得する.
- 頻度の高い症状と疾患ならびに緊急を要する症状と病態について、鑑別診断・初期治療を的確に行う能力を獲得する.
- 終末期医療を必要とする患者とその家族に対して全人的に対応する能力を獲得する.
2. 一般目標2(各論的)
外科学総論, 基本的手術手技および一般外科診療に必要な外科診療技術を修得するのみならず, 泌尿器科などの他領域の頻度の高い疾患への対応も修得する. また外科サブスペシャルティの特徴も研修する.
- 外科総合カリキュラムとして学習する.
- 外科サブスペシャルティに共通する外科の基本的問題解決に必要な基本的知識, 技能および態度を習得する.
- 実地臨床の場で体験による自己学習を促進する.
※基礎的知識とは解剖学, 病理・腫瘍学, 病態生理, 血液学, 栄養・代謝学, 感染症, 免疫学, 創傷治癒, 周術期管理, 麻酔科学, 集中治療, 救命・救急医療, 終末期医療などすべてを包括する.
到達目標
1. 到達目標1
上記の基礎的知識を習熟し, 臨床応用できる.
2. 到達目標2
-
下記の検査手技の適応決定, 読影・診断ができる.
血液生化学検査, 生理学的検査, 超音波診断, エックス線単純撮影, CT, MRI, 消化管造影, 血管造影, 内視鏡検査, 消化器機能検査,泌尿器内視鏡検査,泌尿器造影検査など. -
周術期管理を理解する.
呼吸, 循環, 疼痛, 輸液・輸血, 栄養, デブリドマン・ドレナージ,出血傾向, 血栓症, 感染症, 術後合併症 -
以下の麻酔手技を安全に行うことができる.
局所・浸潤麻酔 - 外傷の診断・治療を理解する.
-
以下の手技を含む外科的クリティカルケアを経験する.
心肺蘇生(二次救命処置), 動脈穿刺, 中心静脈カテーテル・Swan-Ganzカテーテル, レスピレーター, 気管切開・輪状甲状軟骨切開, 心嚢穿刺, 胸腔ドレナージ, 熱傷管理, ショックの診断・治療, DIC・SIRS・CARS・MOFの診断・治療,がん薬物療法と放射線療法の有害事象への対処
3. 到達目標3
以下の手術を経験する.
- 消化管および腹部内臓
- 呼吸器
- 末梢血管(頭蓋内血管を除く),バスキュラーアクセス
- 頭頸部・体表・内分泌外科(皮膚, 軟部組織, 顔面, 唾液腺, 甲状腺, 副甲状腺, 副腎, 乳腺など)
- 外傷
- 泌尿器
- 上記1)~6)の各分野における内視鏡手術
4. 到達目標4
外科診療を行う上で, 医の倫理に基づいた適切な態度と習慣を身につける
- 指導医とともにon the job trainingに参加することにより, 協調による外科グループ診療を経験する.
- 他職種の医療スタッフと良好なコミュニケーションをとり, チーム医療を実践できる.
- 患者さんの社会的背景を理解・共感し, 良好な患者医師関係を構築できる.
- 適切なインフォームド・コンセントを得ることができる.
- 院外の医療関係者と適切なコミュニケーションがとれる.
- ターミナルケアを適切に行うことができる.
- 医療人として適切な態度, 服装, 身だしなみができ, 時間におくれない.
- 確実な知識と不確実な知識を明確に識別し, 知識が不確実な時や判断に迷うときは, 指導医や文献などの教育資源を活用することができる.
方略
- 指導医とともに, 救急外来, 一般外科外来, 病棟において初診から継続して患者を受け持つ.
- 毎週月曜日, 金曜日の総回診で, 担当症例の提示を行う.
- 診療方針について, 各専門診療科の指導医とカンファレンスを行い, 科の垣根のない指導をうける.
- 院内開催のミニレクチャーに参加する.
- 指導医の下, 当直業務を経験する.
評価
<形成的評価>
- SBOsに対する到達度について,自己評価と指導医による5段階で評価する.
- 外来および病棟研修におけるコミュニケーションスキルを指導医が評価する.
<総括的評価>
- 態度・技能につき,スタッフによる360度評価を行う.
- EPOC2入力を活用して評価する.
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