初期研修医科 カリキュラム精神科神経科
目標
GIO
医師として必要な精神医学の基本的な知識を習得する。その上で、精神疾患に関する正しい知識をもとに、患者の心理・社会的側面に配慮した診療を実践できるようにする。
SBOs
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患者および家族との面接
- 患者および家族との面接において、患者および家族の心理的・社会的状態に配慮し、患者、家族のニーズを的確に把握するための面接を行うことができる。
- 生活歴および病歴を聴取し、精神症状を把握して、患者の精神症状を適切な精神医学的用語を用いて記述することができる。
- インフォームド・コンセントに必要な面接技法を習得し、実践できる。
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精神疾患の概念と病態の理解、診断および治療
- 不穏、抑うつ、不安、不眠、幻覚妄想、希死念慮、自殺企図などの各状態像に対して、適切な評価法と診断、治療的介入法について説明することができる。
- せん妄の病態について理解し、鑑別、診断を行うことができる。
- 認知症とその周辺症状の病態について理解し、鑑別、診断を行うことができる。
- アルコール依存症の病態について理解し、鑑別、診断、治療法について説明することができる。
- 統合失調症の病態について理解し、鑑別、診断を行うことができる。
- うつ病、双極性障害の病態について理解し、鑑別、診断を行うことができる。
- 不安障害(パニック障害、強迫性障害、全般性不安障害、社会不安障害)の病態について理解し、鑑別、診断、治療法について説明することができる。
- 身体症状症(疼痛性障害、心気症、身体化障害、転換性障害)の病態について理解し、鑑別、診断、治療法について説明することができる。
- パーソナリティ障害の概念、診断、基本的対処法について説明することができる。
- 睡眠障害の病態について理解し、鑑別、診断、治療法について説明することができる。
- せん妄、認知症、うつ病(双極性障害)、統合失調症については、上級医の指導のもと、適切な治療法の選択、患者や家族への病状説明、予後の判断ができる。
- チーム医療におけるメンバーの一員として、看護師やコメディカルスタッフと協力しながら診療ができる。
- 精神科救急に関する基本的な評価と対応を理解する。
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検査
- 精神疾患の診断および治療に際して必要な検査について説明することができる。
- 頭部CT、MRIなどの画像の判読ができる。
- 脳波所見の判読ができる。
- 精神症状の評価に必要な心理検査について理解し、心理検査の実施、依頼および結果の理解ができる。
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薬物療法・修正型電気痙攣療法
- 各種向精神薬の薬理作用、効果、副作用、特徴を理解する。
- 各種向精神薬の選択が、上級医の助言のもとでできる。
- 抗精神病薬の副作用(パーキンソニズム、ジスキネジア、アカシジア、ジストニア、水中毒、悪性症候群など)について理解し、診断、対処法について説明することができる。
- 修正型電気痙攣療法の適応について理解し、適応の判断ができる。
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精神療法
- 患者と良好な関係を保ち、傾聴、共感、受容的な対応ができる。
- 認知行動療法について概念、方法、適応疾患について説明できる。
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精神保健福祉法、精神科リハビリテーション、精神科リエゾンコンサルテーション
- 精神保健福祉法の知識を持ち、適切な行動制限の指示を理解できる。
- デイケアなどの社会復帰や地域支援体制を理解し、患者に対して必要な支援体制を、スタッフと連携しながら選択することができる。
- 患者の社会的自立のためのリハビリテーションの理念、内容を理解する。
- 他科からの依頼に対し、精神科的観点からの問題解決について説明することができる。
方略
- 病棟で3~5人程度の入院患者を受け持ち、上級医・指導医の指導のもと、担当医として主体的に診療する。
- 毎週月曜日午後の教授回診に参加し、入院中の患者の精神症状と治療方針について理解する。
- 月曜日の午後に開催される症例検討会に参加し、受け持ち患者が対象の場合は、プレゼンテーションを行う。積極的に議論に参加する。
- 毎週火曜日午後1時30分からのリエゾンカンファレンスおよびリエゾン回診に参加し、他科からの紹介患者の症状と対処法について理解し、他科スタッフとの連携について経験する。
- 認知症、うつ病(双極性障害)、統合失調症に関して、入院患者を受け持ち、診断、検査、治療方針について症例レポートを提出する(各1症例以上、必須)
- リエゾンチームの一員として上級医の指導のもとで、特にせん妄の症状を自ら診療し、鑑別診断を行う。
- 指導医の当直時にオンコールで待機し、精神科領域の救急の初期治療に参加する(任意)。
- 身体表現性障害、ストレス関連障害について、外来診療又は受け持ち入院患者(合併症含む)で自ら経験する(各1症例以上)。
- 症状精神病、アルコール依存症、不安障害(パニック症候群)について自ら経験することが望ましい(各1症例以上)。
- 上級医によりクルズスレクチャーが開催される。症例として経験できない疾患については、クルズスにより必要な知識を習得する。
- その他、不定期で開催される勉強会や、院外で開催される講演会があるため、積極的に参加し、精神疾患についての理解を深める。
評価
<形成的評価>
- SBOsに対する到達度について、自己評価と指導医による5段階で評価する。
- 指導医がケースプレゼンテーションにおけるプレゼンスキルを評価する。
- 指導医が外来研修におけるコミュニケーションスキルを評価する。
- 指導責任者が研修中に面接評価する。
<総括的評価>
- 指導医および看護師等による態度・技能を評価する
- 指導医が研修終了時にチェックリストを用いて評価する。
- 指導責任者が研修終了時に口頭試問をする。
- EPOC2入力を活用して評価する。
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