初期研修医科 カリキュラム病理部

目標

GIO

病理診断の基本を身につけ、比較的頻度の高い病態・疾患に対して病理学的な基本的アプローチを行うことができる。

SBOs

  1. 病理組織および細胞診検体の受け付けから組織・細胞診標本の作製までの過程を理解することができる.
  2. 特殊染色と免疫染色の原理を理解し,結果の解釈を説明することができる.
  3. 病理標本を用いた遺伝子検索技術の原理を理解し,その結果の解釈を説明することができる.
  4. 術中迅速標本の提出から標本作製までの過程を理解することができる.
  5. 頻度の高い疾患に関して生検組織診断を行うことができる.
  6. 頻度の高い疾患の手術検体に対して切り出しを行い,組織診断を行うことができる.
  7. 術中迅速診断の基礎を身につけることができる.
  8. 細胞診断の基礎を身につけることができる.
  9. 病理解剖の基礎を身につけることができる.

方略

  • 研修初日に組織および手術検体の受け付け方法を上級医や検査技師から学び実践する.手術検体の受け取りは研修期間中を通して率先して行い,マクロ画像の撮影と固定を行う.
  • 標本の作製過程を検査技師から学び,研修期間中に適切な剖検例1例を用いて組織標本の薄切を行いH.E.染色を施す.
  • 研修期間中1日を用いて,主な特殊染色と免疫染色の原理について検査技師から学び,免疫染色に関しては自動免疫染色装置を用いて染色を行う(症例は診断済みのものを用いる).
  • 研修期間中,病理学講座の技官からin situ hybridization (ISH)とPCRに関して学び,できれば診断済みの症例を用いてEB virusのISHを行うことが望ましい.免疫グロブリン重鎖の再構成やキメラ遺伝子の検出に関しても,機会があれば指導を受ける.
  • 生検診断は毎日開催される生検カンファレンスに必ず参加し,その基本的な診断過程を学ぶ.研修期間が1ヶ月以上であれば,胃生検等頻度の高いものを担当し上級医の指導を受けて連名で報告まで行う.
  • 手術材料に関しては当番制で切り出しを行い,作製された顕微鏡標本を観察し病理診断書を作成した後,上級医の指導を受けて連名で臨床側に報告を行う.ことに悪性腫瘍に関しては各臓器別取り扱い規約にのっとり診断を行う.
  • 術中迅速診断の検体が提出された際には率先して受け取りを行い,上級医の指導のもとに画像取り込みと詳細な肉眼観察,および切り出し処理を行い,担当検査技師の薄切・染色過程を学ぶ.診断・報告が終わった後に上級医から所見の説明を受ける.なお,薄切に関しては報告済みの症例のうち適切な検体を選んで,自ら数例行ってみる.
  • 乳癌に対する術中センチネルリンパ節生検ではOSNA(one step nucleic acid amplification)法を組織診と併用しているため,その過程を検査技師から学び,結果の説明を上級医から受ける.
  • 細胞診断に関しては細胞検査士ないしは細胞診専門医から,適切な症例を選んでもらい診断の基礎を学ぶ.
  • 研修期間中に病理解剖があった際には必ず剖検衣に着替えて入室し,担当医と技官から剖検手技の基本と所見の取り方の指導を受ける.期間が1ヶ月以上であれば自ら病理解剖報告書を作成し,CPCを行うのが望ましい.
  • 研修期間中にある病理部と臨床各科とのカンファレンス(月4-5回),およびCPC(不定期)への出席は原則必須とする.担当した手術例が検討症例になった場合は,上級医の指導のもとで発表を行う.
  • 抄読会への参加も必須とし,発表を一回行う.
  • その他,山陰病理集談会(年2回),日本病理学会中国四国支部スライドカンファレンス(年3回)にも積極的に参加し,可能な限り発表を行う.

評価

<形成的評価>

  • SBOsに対する到達度について、自己評価と指導医による5段階で評価する。
  • 研修期間中に病理部長ないし副部長による面接評価を行う.

<総括的評価>

  • EPOC2による評価を行う.
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